上質な手触りのベロアのワンピースはもちろん黒で、
中の白のブラウスはうるさすぎない程度にフリルをあしらい、
袖口にはこれでもか!なリボン。
コルセットで魅惑の腰のラインを演出。
ああ、もちろんヘッドドレスは外せないわよね?


Happy Days


部屋に響くのは衣擦れの音と、時折響く、くぐもった異音。
その音源には目もくれず、作業は着々と進んでいた。

落ち着かせるために吐き出された息は、落ち着くどころか徐々に上がり最終的に


爆笑へと変わった。


「ぎゃはっはははははっはははっはーくっるしいっ!腹イテー!!」
「グリ江ちゃん!!わらっちゃっ・・・うひゃひゃはははっはーひーくるしー!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

幼馴染と敬愛する主君の容赦の無い笑い声に、黒いオーラをまとって無表情で耐えるウェラー卿コンラート。
「彼」は今、交換条件という無条件降伏の名の下に「彼女」へと変わりつつあった。

ー?ヅラどれにする?」
「んー?・・右の鳶色かな?そう、ソレ。」

の助手に名乗りを上げたのはやはり猊下で、嬉々とした作業は続く。
作業が終わる頃には、コンラッドの目はすっかり生気を失っていた。

「完・璧。」
「ご苦労様、さすがだね。見事としか言いようが無いよ。」
「そんな!猊下のお力添えがあったからこそですわ!!ありがとう猊下!!」
「これからは職人と呼んでもいいかな?」
「職人だなんて・・・巨匠と呼んで下さって結構よ?!」
「・・・・気は済みましたか?」

やっと発せられた声は、地を這うような低くどす黒いオーラをまとっていた。

「っっく・・・美人だぞ!コンラッド!!」
「ほぉーんとぉーグリ江も真っ青ー!!」

腹を押さえながらようやくたちなおりつつあるユーリとヨザックの声は、それでもやっぱり震えていた。・・・笑いで。

「あー楽しい。さて、早速愛するサンに見てもらいましょうか?」
「・・・・。そんなに俺が嫌いですか?」
「ココで『好き』って言う方が問題だと思うけど?しっっっかり反省してもらわないと。・・・泣かせた罪は重いわよ」

あの時のの笑顔が怖かった。後にユーリは語る。

一目見ただけで、あの「ルッテンベルクの獅子」だと誰が気づくだろう?
元の作りがいいのもあるが、見た目は完璧な女性に仕上がっていた。

「何処から持ってきたんですかこの服。」
「衣装協力:グリ江ちゃん。衣装アレンジ製作・総指揮:&猊下ー」
「すっげーゴスロリー!俺初めて見たー!!」
「えー、うらやましいぃーグリ江も着てみたーい!」
「・・・今日ばかりはお前のその神経の図太さが羨ましいよ。」
「あら、やだ隊長ったらその格好で威圧感出さないで下さる?」
「それではごたーいめーん!!」
「猊下っ?!」

心の準備も何もできず、扉は開かれ、隣の部屋のソファーに座っていた最愛の恋人が振り返る

― 間。

「あ、?」

振り返った状態で固まったに恐る恐る声をかける。
次の瞬間

!good job!!!」
叫んでソファーを越え、嬉々としてコンラッドに駆け寄る。
ああ、最愛の姫が、後ろにいる悪魔の影響を受けていると眩暈を感じた。

「すごーい!コンラッドきれーい!!かわいいー」
「・・・が着た方が似合いますよ。」
「そんなこと無いよ!コンラッドすっごく似合ってる!!」
「・・・喜ぶべきなのかな」

複雑そうな顔。でも正直な感想だし。

「気に入って頂けて?」
「もっちろん!流石v」
のも用意したから後で着てね?(いい笑顔)」
「う゛っ!」
「ああ、カメラが無いのが悔やまれる!!陛下何とかしてよ!!」
「無茶言うな!」
「ほんとだねぇ、こんな最高傑作、後世に残さないと。そして後からネタにしないと!」
「ちなみに、今回の自信作はズバリ偽乳!見て!!グリ江の鳩胸並み!」
「きぃ!負けないんだから!!」
「いいから、張り合わなくてイイから!!」
「・・・・流石、毎日詰物してる方は慣れてますね。」
「・・・だーれーかー!!アニシナさん呼んで来てー!!
 グウェン閣下とギュギュギュ閣下の魔力使い果たしていいからこの姿を後世に遺せー!!」

あんまりおかしくて涙が出てきた。ふと横にいるコンラッドを見ると
耳元で囁かれた。
「・・・も後で着て見せてくださいね?」
「コンラッドとおそろいで?」
「・・・・。。」



−End−

 キレイなオネェサンは好きですか?(笑)
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