特 効 薬


全く、どうしたものか・・・
目の前の男に自分の中で一番だと思う睨みを見せる。

「なんですかその目は。折角お見舞いに来てるのに」
「頼んでないし」
「そんな素っ気無い」
くすくすと笑う男は嫌がらせか柑橘系100%のジュースを差し出した。
あいつと同じオレンジ色。

「知っててやるんだ?」
「知ってますけど」
ね。って微笑まれても残念ながらあたしには効かないよ。

「やっほー。具合どお?」
「最悪。早くこの人持って帰って」
訪れた友人は曖昧に笑って彼の手にあるジュースに視線をやった。
長年の付き合いなら分かるでしょ!?柑橘系のジュース飲めないんだって。
怒って!こいつを怒ってー!!
心の中で彼女が怒ってくれるのを待っていたのに

「駄目じゃないの。飲ませてないじゃん。コンラッド自信満々だったくせに」
「うぇ?」
驚きで変な声が出てしまったけど彼女はさらっと流してしまう。
ちょこっと寂しい・・・

がすごい目で見るんだ」
「・・・・・確かに目が据わると怖いけどコンラッドなら何とも思わないでしょ」
「女性に手荒な真似はできないし」
「けっ。似非紳士が」
吐き捨てるように呟くと友人は爆笑した。

「ほらー。に遠慮は要らないって」
いや、要るって。大事に扱ってよ。
「そうですか?がそう言うなら」
「ま、待てウェラー卿!」
「観念してくださいねー。の頼みだから絶対に断れませんし」
慌てて友人に顔を向ける。精一杯弱弱しく。
「それ、こっちの薬でね、なんでも一発で良くなるって評判なんだよ。嫌いな味かも
しんないけど」
「ちょっと製造者に不安はありますけどね」

えー・・・と、毒女作?

「やめろ!やめろってば!!やだぁぁあ!!!」
!三日も寝込んでるでしょ?ちょっと我慢すれば遊べるんだよ!!」
「ひぃいいー鬼ぃ!!!」
柑橘、それも100%なんて病状を更に悪化するに決まってる。しかもアニシナ作。
「ほーら、いきますよー」
ウェラー卿が鼻を摘まんで口に液体を流し込む。こいつ結構楽しんでる。
絶対殺る!なんて復讐を誓いながら意識を手放した。


    **



「お、目ぇ覚ました」

視界がオレンジ。
とりあえず生きてる?

「大丈夫かぁ?」
「・・・あんた誰・・」
「げっ!マジで!?」
体を起こすと人の寝室でティータイムか。
悪魔二人が優雅に茶を啜っていた。

「冗談に決まってるじゃないか。もし知らない奴が寝起きに居たら、がそんな大人しく訊ねるわけがない」
「まず一発いくか、目で殺されるよねー」

ちょっと待って。貴方たちのあたしのイメージってそんなんばっか?

悲しくなって俯くあたしの頭をヨザックがポンポンと叩いて慰める。
「でも顔色良くなってるよ。良かった、薬効いたんだね」
「・・・そういや身体が楽かも」
感謝したくは無いが結果オーライ。良しとしよう。
ノックの音にが返事をするとギーゼラが顔を出した。

「こんなところでお茶ですか」
回診ですと聴診器を取り出す。
「あら?熱も下がったようですね。朝はあんなに辛そうだったのに」
「ああ、悪魔に毒女印の薬を飲まされて・・・」
「毒、女・・・・・?」

部屋の温度が下がった気がする。

を見ると何故かウェラー卿の後ろに隠れるところだった。
「おのれ医療の範囲にまで手を延ばすとは・・・!」
「ギ、ギーゼラ?」
「おい!貴様!」
「はい。軍曹殿」
声をかけられたヨザックは右手を挙げて返事をした。

・ ・・軍曹殿って一体?

「毒女の薬と癒しの手、どっちが必要だ!?」
「そりゃあもう、軍曹殿の癒しに決まってます」
「ふん馬鹿共が!何故私が癒しを使わなかったか分かっちゃおらんのだろうな!」
「分かってますよー。自然治癒をできるだけ薦めてますもんね、軍曹殿は」
「ほう。少しは分かっているようだな。薬や魔力に頼ってばかりだといざという時困るからだ。
それを私の処方した薬じゃなく毒女作を飲ませるとは!!」

ギーゼラが怖い。ギリギリと唇を噛んでる。
「でもね、あんまり二人を責めないでくださいよ。俺が任務に行かなきゃならないから強行手段取ったんだから」
「任務・・・・・?」
ギーゼラの変貌振りに驚いた顔のままでヨザックを見上げた。

「そういうことなら仕方ないですね。じゃあ邪魔者は退散しますか」
ギーゼラはとウェラー卿を連れて部屋を後にした。


    ***


「いつ、行くの?」
「明日の夜明けに」

ベッドに腰掛けるヨザックは申し訳なさそうに目を伏せた。
「たまには弱ったもいいなーって思ってたんだけど出発前までそんなんじゃ安心して仕事出来ないしー」

それであの薬か。きっとあの二人なりに気を遣ってくれたんだろう。

ウェラー卿に関しては感謝するのは癪だけど。

「今回はあんまり一緒に居られなかったけど」
にやりと笑い距離を縮めてきた。
「可愛かったなー。いつもと違って弱ってるから憎まれ口叩かないし」
「・・・悪かったわね・・・」
「悪かないわよー。こうして誰も知らないを知っていくって楽しみにグリ江、ゾクゾクしちゃう」

息がかかるくらい近くに来て、ブルーの瞳を細めて
「でも、こういう時はいつでもゾクゾクしちゃうけどね」

そうしてあたしの唇に触れた。

「やだ。グリ江、獣になりそう」
「え!?だっ駄目!」
「駄目なのー?」
駄目に決まってる。三日もお風呂に入ってないし。
ヨザックの口付けを受けながら必死で回避策を考えた。
くくく、と低い笑い声にヨザックを見ると肩を震わせて笑っていた。

「・・・何よ」
「んー?」
あたしの肩に頭を乗せてまだ笑いが止まらないらしく肩を通して振動が伝わる。
なんだかあんなに混乱していた自分が馬鹿らしくなった。

「可愛いなぁー。ったく」
「何?」
「強い女なんだけど弱いんだよな」
「何勝手に分析しちゃってるのよ」
「そんなとこも好きだ」

あー、顔に血が上る。きっと真っ赤。変な汗も掻いてきた。
「可愛いねぇ」
そんなあたしを可笑しそうに見つめる。悔しくてヨザックを突き飛ばした・・・つもりだった。
鍛えられた身体があたしの力でどうにかなるはずも無く、逆に囚われる。



耳元で囁く低い声に身震いした。

「明日まで・・・こうしてていいか?」
「・・・ずっと?」
が嫌じゃなければ」

不敵に笑ってこう続けた。

「今日は何にもしないから安心してねん」

はて、信用していいものか・・・
「・・・・その顔は信用してないな・・・」
「わー!!信用してるってば!乗っかるなっ」

お風呂さえ入ってれば構わないのに、なんて少しだけ思ったことは内緒にしないと。


だって、またしばらく逢えなくなるんだから。


寂しいとは言ってやらないけどバレバレなんだろうなー・・・


〜〜fin〜〜


〜彩乃様より〜
できちゃったよー。できたけど激甘にはなってないねー。ごめんね。
次男虐めが好きな貴女へあてつけのように次男を出してみましたよん。

〜yu-ha〜
ええ、もう、 
し  あ  わ  せ  。

先日、ご飯食べに行った先でお互い「
ネタよこせ。」と話していた訳ですよ。
その時に、半ば無理矢理、強奪権利を勝ち取り「激甘」をおねだりした訳ですよ。
戴きました☆!!!!十分っ激甘だから!メールで貰って悶えました(危ない子)
管理人の基本スペックを熟知されてます。(柑橘類一切拒否・寝起き激悪etc)
最初戴いた時は「遊葉」ではなく、本名に近かったのですが、、
・・・・バタリ。
〜っ動悸がっ!!腹黒い管理人には眩しすぎる!!のでちょっと抵抗してみました。。
ゴメンよ彩乃さん。
ア イ シ テ マ ス!!!!!!!!

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