最恐彼女。
彼の毎朝の日課は最愛の恋人を起こすこと。
今日も足取り軽く向かうその先はまだ静寂が支配していて薄暗い。
だがいつもと同じなのはそれだけで、明らかに違うことがあった。
床に散乱した服や靴。にしては珍しい。
何より気になるのは寝台の膨らみ。
一人分ではない。ゆっくりと震える足で近付く。
そこにはと隣にはオレンジ色の……
「ヨザック!!」
「うわっ!?」
「なっなに!?」
飛び起きた友人と恋人は寝ぼけ眼を彷徨わせ、漸く彼に合わせた。
「た、いちょ…」
「お…おはよ。コンラッド…」
「おはようございます。で?説明してもらえるかな?」
笑顔は引き攣り、右手は剣を抜きかかっていて、かろうじてそれを左手で止めている。
「何故ヨザックがいるのかとか、そいつが上着を着ていないのかとか、もそれ下着でしょう?」
「やだっ!隊長に見られたわあー」
「コンラッド!聞いて?」
「ええ。ちゃんと聞きます。聞いたらこいつは剣の錆にしますがね」
冷たい瞳で射ぬかれてヨザックは震えあがった。
「!?」
いきなり黒い物体がコンラッドめがけて飛んできた。だが彼は難なくそれを避けた。
「…靴?」
飛んできた方向は寝台で、そちら側を三人で見やる。
「…んるさい」
寝台の上でなく、下。
そこには半目のがいた。そしてぱたりと倒れこむ。
「おーい。…また寝たよ」
苦笑いして床に降り立ったヨザックはを抱き抱えようとした。
「こらっ!暴れるな!」
ボスッと寝台の上に放り投げられたはそれでも睡眠を貪り続ける。
「うっきゃあ!」
「んー…」
がを抱き枕にして寝続ける。それにコンラッドの片眉が上がるがさすがに引き離すことはしなかった。
「昨日、と遊びに来てぇー、そのままパジャマパーティー?」
「遊びにって真夜中にムラケンとの勝負に負けたって騒いで人を叩き起こしたんでしょ!」
なんとかを剥がし起き上がったにコンラッドが上着を渡す。
「だからっていつも着替えて寝るが何故下着で寝てるんですか?」
「これ下着じゃないよー。グリ江ちゃんととお揃いのキャミソール。パジャマなの」
「そんなの下着と一緒です。しかもヨザックにくっついて寝てるし」
「最初はが真ん中だったのに変ねえ?」
「・・・トイレに起きたからわざわざ真ん中に入りこむのもね」
「あら、珍しい!が起きた」
寝台に寝転んだままでボーッとしているけど。
「ウェラー卿を仲間に入れなかったから拗ねてんのね」
「違います。俺以外の裸の男と一緒に寝てることが問題なんです」
「束縛強いと嫌われるわよ?」
「寝起き最悪で暴れん坊なあなたも気を付けないとね」
朝っぱらからまったく。とヨザックがため息を吐く。
「ねえ、コンラッド?」
腰に手を当ててにっこり微笑む彼女。
「目覚めのお茶は淹れてくれないの?それともヨザックに頼んでいい?」
「いえ、俺が」
「じゃあお願い」
優しく彼女の肩を抱いて移動するコンラッドにヨザックは笑いながら寝台に腰かけた。
「本当犬だな」
「まったくねぇ。自分で淹れようとは思わないのかしら?」
「それをが言うんだ…で?うちの姫はまだ寝るつもりかな?」
「姫って言うな」
ヨザックが笑いながらそっと額に口付けて、次に唇に触れようとした。
「まだお前を錆にする気は変わってないぞ」
ぴたりとヨザックの動きが止まる。ゆっくりと後ろを振り向くと扉に寄りかかって薄く笑うコンラッドがいた。
「もうっ!馬鹿なこと言わないの!」
「…っ」
から頭を小突かれて拗ねた顔をするコンラッドに勝ち誇った顔でが笑う。
「獅子も形なしね」
「それより二人にもお茶いれてるんだけど?」
「今いくわ」
「ええー!?隊長の淹れたお茶なの?いやあーん嬉しーい」
「気持ちわる」
寝台から飛び降りてさっさと行ってしまうを慌てて追いかけた。
「今日は俺とパジャマパーティしませんか?」
コンラッドがにカップを渡しながらそう提案してみる。
「えー」
「あら、危険よ。ウェラー卿とじゃすぐ襲われちゃうもの」
「そうそう。獣よお?」
「そうだよ。昨日は遅かったの。だから今日はゆっくり寝たい。コンラッドいたら寝れないじゃん」
「そ、それは俺が邪魔だと?」
「そう聞こえなかった?鈍い男も嫌われてよ。ウェラー卿」
「違う違う」
飼い主に邪険にされてしょんぼりしている犬がここに一匹。あまりのへこみっぷりに慌てて訂正しようとした。
「コンラッドが邪魔ってわけじゃなくて!」
「そう、うざいの」
「う…うざい?」
「違うってば。そうじゃなくて」
「うっとおしい」
「そんな……!」
フォローするそばからが口を挟んでいじめていく。
「!もう朝からいじめないの!」
あまりの落ち込みようにかわいそうになって頭を抱き寄せて庇ってしまった。
「姫。隊長そんなにヤワじゃないと思うわ?」
「そんなことありませんよ。…ん?」
不意に顔を上げたコンラッドが怪訝な顔して言った。
「、痩せました?」
「え?どうかなあ?」
なんだか嬉しくて、笑ってしまったけれどそれはすぐ消えた。
「いえ、なんだかこう…感触が」
「か、感触?」
「はい」
そういうとコンラッドの右手が左胸に添えられた。
「いやーっ!!」
「おっと」
繰り出した右ストレートは難なく避けられて、今度は右を触ろうとする。
それをなんとか突き飛ばして阻止し、の後ろに隠れた。
「ほらね?ヤワな男じゃないでしょ?」
ヨザックがそういっての胸を凝視した。
「あら…でもそう言われれば」
「ヨザック!!」
「どれ?」
今度はが遠慮なく両胸を鷲掴みした。
「あー・・・ちょっと小さくなった?」
「もうっ!信じられない!」
は顔を真っ赤にしてそばにあったコンラッドの剣を掴んだ。
「みんな出てって!!」
鞘のままだがそれを振り回す。
「人が気にしてること、みんなで言うことないじゃないの!!」
三人ともたまらずソファから立ち上がる。
「出てけー!!」
「ちょっと待って。そんなに気にするほどじゃないでしょう?おっと、危ない」
「一番に言ったくせに!」
「姫、大丈夫よ。まだちゃんとあるし!…わあっ!」
「グリ江ちゃんに言われたくない!!」
「ごめんって!危ないから振り回さないで!!」
「、偽乳とか言ってちゃっかりあるくせに!!」
「「「落ち着いて!!」」」
とうとう部屋から追い出され、戸口に立ったが肩で息をしながら叫んだ。
「今日は誰とも会いたくない!!部屋に来たら絶交だからね!!!」
そういうと剣をコンラッドに投げて扉を閉めた。
「!」
コンラッドが扉にすがるが無情にも鍵がかけられた。
「あーあ。怒らせちゃった」
「ウェラー卿の努力が足りないから」
「!?!俺、喜んで協力しますから!なんなら今からでも」
「ヘンタイ!!!」
多分クッションが扉に投げつけられた音との怒鳴り声。
これはちょっとやそっとでは機嫌が直らない。
「ここにいたら一生許してもらえないわ。ウェラー卿も別れたくなかったら今は引くことね」
「…のアドバイスにしてはまともですね。…仕方ない。時間をおいてみましょう」
「でも、普通に許してくれると思うか?」
「「……………」」
彼女の怒りが解けても仕返しが怖い、かもしれない。
〜〜fin〜〜
彩乃様より・・・今のあたし。うわああん!小さくなったよー!!
遊葉・・・どれだけ寝汚いかバレバレですねorz
わーぁぁいvセクハラ次男だー!!(悦)お庭番は後で殺されそうになるね♪楽しそうだー!!
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