「アニシナちゃーんv遊びっましょー♪」
「ヨザック?何の用です?くだらない用件なら後になさい。今実験が良い所なのです。」
「うわぁ、流石、赤い悪魔アニシナ嬢。取り付く島さえないのね。。」
あからさまに迷惑そうな顔をし、これ以上構ってられるかとばかりに実験に戻る小柄な背中を見つつ
机の上の「喉笛2号」を手に取り軽く振り回す、と。
「それは『喉笛2号』の改良版『必殺☆鉄人喉笛28号』。従来の仕込刀だけではなく、
仕込簪、果ては飛び道具にもなると言う優れものです。盗難防止に持ち手に痺れ薬を・・・
聞いていますか?ヨザック?」
ご丁寧な、説明は、手に、取る、前、に、聞き、た、カ、っ、タ ・ ・ ・。
「まったく。痺れ薬ぐらいで情けない。根性で何とかしなさい。
それ位でしか使い道が無いでしょう根性などと言う代物は。」
「――――。」
根性ぐらいで何とかなる痺れ薬なら、盗難防止にはならないだろうと思いつつ
口には出さない。というか出せない。
実験が落ち着いたのか、うまくいったのか、失敗だったのかは、さっぱりわからないが
世の中には知らない方がイイ事もある、特に赤い悪魔に関しては。
どうにか痺れがなくなり、書類と積み上げられた書籍を端に移動させつつソファーに座る頃には
珍しい事に、飲み物まで出てきた。
「心配しなくとも、何も危険なものは入れていません。」
「危険なものは・ね。。」
「で?何の用です?」
「はい、コレ。頼まれものの材料とお土産ーv」
「ああ、そういえば。・・・・確かに、礼を言いますヨザック。ご苦労でしたね。」
「ドウイタシマシテ。」
アニシナの実験上、眞魔国では手に入りにくい材料があると、
必ず国外で諜報活動をしているヨザックの元へおつかいメモが送られてくる。
そして、国内に戻ってきたヨザックが、お土産と一緒に届けに来る事が常となって久しい。
アニシナが周りから赤い悪魔と恐れられているにも関らず、「ちゃん」付けで呼べるのは、
「眞魔国広しと言えどグリ江ちゃんだけ」と双黒の魔王様から称賛を受けたのはいつだったか?
「ところで、アニシナちゃん。頼んでたアレ。・・・・出来てる?」
「わたくしを誰だと思っているのです。『赤のアニシナ』『赤い悪魔』ですよ?
ヨザックごときの希望の品など朝飯前の夜食のようなものです。そこの袋に詰め込んであります。
勝手に持って行きなさい。」
「やーんwグリ江うれしぃー♪アニシナちゃんありがとう!」
「おやめなさい。腕の太いメイドに嬉しがられても、ちっとも嬉しくありません。」
「・・・・やはり、エプロンは改良の余地有か・・・・。」
ブツブツ言っているメイドはさておき、新たに手に入った材料とヨザックからのお土産を手に立ち上がる
トサッ。
「コレ、は?」
足元に落ちた茶色の紙袋を拾い上げつつ尋ねる。
「うん?・・・ああ。『たぶんろくに食べてないだろうから、』ってさ。根つめすぎるとお肌荒れちゃうわよ?
そっちのクリームはグリ江からーvツェリ様も推薦美肌クリームよん♪」
茶色の紙袋の送り主の眉間の皺を思い出しつつ、中身に手を伸ばす。
ほのかに焼きたてのイイにおいがした。
「じゃ、そろそろお暇するわ。またねアニシナちゃん。」
「・・・・ヨザック。」
―
「しっつれーしまーっすv」
「ヨザックか。報告書は今読んでいる。その辺に座っていろ。」
「はーい、で、ハイ。」
「何だ?コレは?」
「さぁ?」
書類の上に置かれたは白い紙袋。ご丁寧に赤い悪魔のドクロマーク入り。
「・・・・・。」
「あいにく赤い悪魔の考える事はグリ江にもわかんなぁーい。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「直球でとれば、お礼、じゃないんすか?」
「あの、毒女だぞ。」
「失礼。直球だと実験。変化球でも実験すね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「―報告から聞こう。」
「―逃げてもたぶん無駄っすよ。」
執務室を出る時、振り返ると未だ白い紙袋とにらめっこしている直属上司。
捨てるなんて事出来ない癖に、最後はやっぱり試す癖に。それでも、悩む
「愛の試練ってやつ?」
そんな呟きが聞こえた筈も無いがドアが閉まる直前、紙袋に手を伸ばすのが見えた気がした。
あーなたを虜にしまっしょおぉぉ♪
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恋の罠しかけましょ