夜のトビラ


「これで、よかったのかな。」

なんて、

…何を今更言い出すんだコイツ。

「…迷ってる。」

止めるのも聞かず前だけを見て走っていった貴方が
突然戻ってきて思い出したかのように弱音を吐いて、


「…都合のいい時ばっかり、頼ってんじゃないわよ。」

なんて、

本当は、そんなこと言えた義理じゃないけど。


(離れていった事も気づかなかったんだから、お互い様だろう。)


遠くへ行く姿を見届けようともしなかった。
夢だけ見つめて走る姿に、自分の夢を託したつもりで諦めた。

進む勇気を無謀だと嘲笑う資格なんか、遠の昔に無くしてしまっているくせに、
壁にぶち当たって弱ってる貴方を見て、「やっぱりね」なんて偉そうに、自分は賢い人生を歩いているフリをする。

「挑む強さ」に「諦める潔さ」で張り合おうとした。


ああ、どうか気づかないで。
貴方は、こちらに来ないで。
貴方が迷いも無く進む為に(私の弱さを悟られない為に)必要ならば、


私は、いくらでも嘘をつきましょう。


「背中押してほしいんなら言ってやる。」


止まるな 進め

迷うな 走れ


応援なら、してやらんこともない。
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