遠く、遠く
― 本日、女 休業日。
太陽がしっかりと真上に上がった、休日の昼下がり
脱ぎ捨てられたコート
散乱した書類
転がるビールの空き缶
コンビニ弁当の残骸
鬱蒼とした部屋の惨状におっさんくさい欠伸をしながら
のそのそと布団から這い出て、冷蔵庫のドアを開けてみる。
小人が買い物をしてくれる訳もなく、現実的な物資の補給もしていないからこそ
中に何も入ってないのは当然で、それでも腹の足しになるような物が出てこないかしばらく眺め、
冷気に眉を顰めて諦める。
戸棚の中の非常食は先週の金曜を最後に制覇した。
会社に送られてきた貰い物の海苔とそうめんを部署の皆で分けたのはいつだっけ?
そもそも最後に米を買ったのはいつだ?
(…仕方ない。)
背に腹はかえられない、とはよく言ったものだと先人の言葉に納得してみたり。
1.着替えて、最低限の化粧をして、必要最低限な物を買出しに出かけるついでに
近所の洋食屋さんに遅めのランチに行く。
2.出前をとる。
3.家にあるもので何か作る。
「3は却下。あるもので作るったって、小麦粉…うどん?テレビじゃあるまいし。」
呟いた声が部屋に響いたのが虚しくさせたのか、発言の内容が虚しくさせたのか。
…しょうもない2択。
どちらを選んでも大差はない気もするが、「2」を選ぶのは、自立したオトナとしてどうなんだろうな、自立しているからこその選択肢か、などと考えつつ
郵便受けにはさまったままのピザ屋のチラシに心を揺さぶられる。
部屋の片付けを先にするなどということは端から考えない。
ほんの少し悩んで携帯を手に取る。注文の電話番号を確認しながらチラシの間からひらりと落ちた葉書に気づき、
拾おうとしてそのまま止まる。
「…あ゛ー、、」
言われてみれば、そんな時期だと言えなくもない。
年末の忙しい時にこんな事を考えるとは、余程暇なんだな主催者はと、良くも悪くも遠くに離れたこんな所で毒づいてみても届くはずもなく。
帰省ってある意味仕事だな、しかも相当難儀な。と今更な事を考えた。
「寒…。」
開け放した窓、吹き込む風、舞い散る六花、今年一番の寒さ。
日々の忙しさを言い訳にしてまで進んだ先に何が残るというの?
掴んだ手の中には本当に欲しいものがありますか?
振り返ったその時、自分の足跡は残っていますか?
『元気にしてるの?が、生きてるの?に変わるのも時間の問題なんだから、その前に帰ってきなさいよ?』
そんな有難い言葉を思い出しながら、
細く、長く、紫煙を燻らせた。
ダイジナノハ、変ワッテイクコト 変ワラズニ イルコト