何で上手くいかなかったのかなんて、覚えていない。


「・・・訂正。理由がありすぎて、どれが決定的なのがわからないって方が正しいわね。」
「お前その独り言体質直した方がいいぞ?初対面の人間だったら確実にひくぞ?」

互いに目を合わせることく、目の前のグラスは空になる。





                              return to my love







ありきたりなシュチュエーション、共通の友人の結婚式の2次会で数年ぶりに顔を合わせてしまい
「シマッタ」と思うよりも先に、

(・・・こんな顔だったっけ?)

古傷がどうのこうの何て、実際目の前にしてみれば、せいぜいこの程度の感慨。

―それだけ、『過去』にできたと言う事か? 


それとも、

「それほど愛着とか執着ってモンがなかったって事かもねぇ。」
「何か言ったか?独り言なら独り言らしくもう少し控えめにしたらどうだ?」
「ツマンナイつっこみー。スミマセーン塩犬おかわりー。」
「・・・相っ変わらず可愛くねぇー。」

何がどう相変わらずなのか小1時間ほど問いただしたかったが、馬鹿馬鹿しいのでやめる
知らないくせに、何も、

「楽しんでるかー?」
「「サイコー」」

言うわりにちっとも「サイコー」には聞こえない声で、振り返らずに答える。

「お前ら、ホント変わらねぇな?」

笑いながら間に座る友人を半眼で眺め2杯目の塩犬に手を伸ばす。

「主役は主役らしく場を盛り上げてくればー?」
「いやあもう、お前らの事が気になって気になって、で?どうよ?元鞘に戻っちゃったりしないわけ?」
「ご期待には沿えないとなぁ?」
「そもそも鞘もないのにどうやって?」

いい笑顔で答えれば、何を期待してたんだかあからさまに肩を落とす本日の(たぶん)主役

「何を期待してる訳ー?」
「俺はだなぁ、お前らがちっとも」
「ああ、もういい。ヤメテ。ハイ、飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで飲んで飲んでー?」
「ゴチそーっサマっが聞こえない?」
「っだぁぁあ!!お前ら無駄に仲イイって言うか、・・・もしかして、俺の知らない所で実は」
「「無い。無い。」」


互いに「お前が言うな」とばかりに一瞥。


「・・・どうせ、くだらない事で煮詰まってんだろ?」
「さも見てきたかのように言わないでくれる?煮詰まってんのはそっちでしょ?」
「何だ?お前ら相手できたのか?」

「コイツの事だから馬鹿みたいに悩んで、自分で逃げ道周到に用意した挙句自滅がオチだって。
 うっわお前その齢だと笑えねぇ!逃げ道用意する場合かよ?後なんかねぇぞ?!」
「そうなの?」

「何を血迷ったのかコイツみたいなロクデナシを真剣に好きになっちゃった真面目な子がいて、
 その子が可愛くて仕方ないのよねぇ?でもって幸せにする自信がない癖に手離したくもないんでしょ? ヘ・タ・レ。」
「そうなのか?」

「「・・・・。」」
「お前ら、それだけお互いの事わかってて何でダメになった訳?」

せっかくの幸せの晴れ舞台に(しかも主役が)軽々しく「ダメになる」やら「元鞘」などと口にするんじゃねぇよと抗議も虚しく
「やっぱり、お互いの為にも素直になるのが一番・・」などと見当違いの説教が始まる。


「どっちにせよ駄目だろ。きっと同じことの繰り返し。」


「第一、コイツが素直とかありえねぇ」と余計な一言はあったものの、思っても見なかった方向からの助け舟に少しだけ驚く。

「わかんねぇじゃん。お前ら別れて何年よ?今日までの間にそれぞれそれなりにあっただろうし?
 あの頃よりお前らも多少オトナになったんだから、」
「オトナになったからこそ、無理だって。」

ダメになったから。あの頃とは違う立ち位置だからこそ。


今こうやって笑える。



「イイ女になったのになぁ。」
「おかげさまで。」
「イイ女はそこは否定するだろ。フツー。」
「フツーのイイ女に成り下がってどうすんの。」

「俺には理解できない」とばかりに騒ぎの中心に戻る主役の背に向かって、


ふたりして、グラスを掲げた。



                                                           yes, No return



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