どうせ、同じだと思った。
驚いて、取り乱して、憎悪を向け、命乞いをする。
なのに、
どこか違う。
同じのはずなのに。
「普通殴る?」
「普通は振りほどいて逃げるでしょうねぇ」
「逃げるのはわかったけど、だからって・・・」
「『逃げる』為に殴ったのよ?」
ご理解頂けて?とにこやかに笑う彼女
1時間前、彼女に会った。事実を伝える為に。
―彼女の寿命は、後23時間。―
なるべく脅かさないように・怖がらせないように・ショックを与えないように・傷つけないようにと
何度も考えたが、結局彼女を目の前にして言えた言葉は
『こんにちわ。突然ですがアナタは今から24時間後に死にます。』
説明不足にも程があると、先程から俺に向かって無神経だの配慮が足りないだのと
こちらの気苦労など知らない彼女は、次々と多彩な言葉を並べる
「キイテマスカ?」
「キイテマスヨ?」
望んだ答えが返ってきたのか満足そうに笑う。
いや、だからそうじゃなくて、
「いいの?」
「はぁ?」
「だから、こんなところで・・・」
俺なんかと話してて。
そう続く言葉は口には出さなかったけど、
その目に一瞬映った怒りで、言いたい事を察してくれたのはわかった。
「あ、・・・」
何事かを発しようと開けた口から出てきた言葉は何の意味さえもたず
そんな意味のない言葉を端から聞くつもりもない彼女は、黙って俺を見る。
・・・というか睨んでいる。
言ってはいけない事だったか?と考えても、
当然の疑問で、実際こんな事してる間にも時間だけが過ぎていくだけだ
もっと、大事な人と一緒にいるとか、お別れを言いに行くとか
他になにか・・・・
「今から約23時間後にアタシは死にます。お世話になりました。ありがとう。」
そうそんな感じで、
「って言って?・誰が?・信じるの?」
・・・・・信じないでしょうね・・・・。
「その度にアンタが出てきてさっきみたいに説明するのって不経済じゃない?」
「不経済って、、そういう問題?」
「それに。」
「それに?」
嫌な予感。
逆光でその表情が読み取れない。
「諦めてないし。」
見えないはずの彼女の表情が、何故だか、
笑っている事がわかった。
―敵わない。
そう額に手をやり空を仰ぐ。
見上げた空の蒼が目に痛かった。