綺麗だと思った。
紡がれた言葉で変質者だと思った。
そして今
やっぱり変な奴だと思う。
目の前の男が言うところの運命の時間まで、あと約23時間弱
「諦めてない」
この言葉に嘘はない。
諦めるどころか、信じているかも疑わしい。
信じる方がどうかしているとも思うが、
嘘だ、と否定も出来ない。
視線に気がついたのかふと目が合うと、困ったように笑う。
そんな顔を見たい訳ではないのに、
口をついてでた言葉は
「何でアタシが死ぬの?」
とうとう困った顔をさせてしまった。
顔を見ていられず、誤魔化す様に前を向きながら更に続ける、
「ホラ、交通事故でとか?病死・・・はナイでしょ。この前の健康診断異常なしだったし、
あー、でも突然死とか?原因不明の心臓発作?まさか、誰かに殺される?殺されるほど恨まれる事した覚えないわよ」
振り返ることも出来ずに、次に発せられるだろう言葉を静かに待つ。
「聞きたいのは、どうやって死ぬかじゃない、だろ?」
何かが切れた気がした。
「質問を質問で返さないで!!」
「・・・・。」
振り向きざまに叩きつけた声は無様に震えていたが、構ってられるほどの余裕は無い。
見透かされているのもわかっていた。でも、
なりふり構ってられないくせに、ソレを他の人間に見せたくない。
まして、目の前のこの男には。
何故かはわからないが、どうしても。
「・・・・何で死ぬの?」
「・・・死因は原因不明の突然死の予定」
「予定?ナニソレ。」
「ご希望とあらば、交通事故にしようか?」
「他の人間巻き込んで死ぬほど落ちぶれちゃいないわ。」
「やっぱり予定通り、突然死かな。」
「・・・・。」
顔を見られたくなくて、下を向く。
声が、震えたのは、さっき叫んだせいだ。
見たいのは、笑った 顔 だから。
「何で死ぬの?」
「生れ落ちた事が罪だから。」
生れ落ちた事が罪ならば、生きていく事は罰。