居心地の良さに甘えて、
                                    言わなくてもわかってくれるなんて傲慢な思い上がりで
                                                大事なことを後回しにして逃げてた。





「で、戻ってヨザックにちゃんと告白でもする気かい?」

眩暈を覚えそうな問い。猊下のメガネが光ってる気がするのは気のせいか?

「あー、俺も前々から気になってたんだけどお前らって付き合ってない訳?」
「あたしも気になるー、そういうこと全然言ってくれないし!」
「えー?じゃあヨザックの一方通行?」
「・・・・・。」

・・・・本格的に頭が痛くなってきた。こういうポジションは陛下とに任せていたはずなのに。
脱力感を覚えて下を向けば太陽の光が水面に反射して、眩しさで目の奥が痛い。

「・・・・知リマセン。」
「知らないって、あんなダダ漏れなのに?!うっわーグリ江ちゃん気の毒!!」
「素直じゃないねぇ。」

座り込んで水面も手を伸ばす。触れたところから波紋が広がるのをじっと見ていると

「でも、会いたいんでしょ?」

横に同じように座り込んだの顔を見て、苦笑い。
目を閉じて、思い出す。顔を、姿を、声を。

「当たり前みたいにいつの間にか傍にいて。」

個性的過ぎるインパクトで、忘れようにも忘れられない。

「それがいきなりいなくて。」

・・・・まぁ、それは奴のせいではないけども。

「・・・・ムカついてきた。」
「「何で?!」」

さて、面白そうに笑っているもう1人の友人に交渉を開始しましょう。

「という訳で、猊下?報酬は、サン☆秘蔵ショット3枚でどう?」
「待てい!!」
「・・・5枚!」
「交渉成立ね。」
「人の写真で勝手に交渉するなぁ!!」
「・・・諦めろ、。相手が悪い」




**



勢いよく開いたドアから入ってきた人物は、眞魔国でもトップクラスの頭脳と美貌を兼ね揃えた菫色の美丈夫
非常に有能である。・・・有能なはずである。
魔王陛下の事となると、例えその煩悩が、もとい愛情が暴走してしまうとしても。

「グェンダル!!大変です!!今!たった今眞王廟のウルリーケから!」
「・・・・落ち着け、ギュンター。とりあえず鼻血を拭け。」
「ええい!そんな場合ではないのですよ!!たった今!猊下からのお言葉がウルリーケから届いたのです!!
 ああ、麗しき大賢者の尊き御言葉を・・・」
「用件を言え。」

書き上げたばかりの重要書類に鼻血のしみを作られ、眉間の皺をよりいっそう深くしながら言い放つ。

「まったく、貴方ときたら昔から・・・、まぁいいでしょうしかと聞きなさい!

            『コタツと湯豆腐の準備よろしくー』。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・グェンダル。コタツとは何です?」

フォンヴォルテール卿の血圧が危険値に達するまで後1秒。



***



視界が急に開けて、痛いほど目に入って来た光で一瞬真白な世界が広がり、
ようやく、光に目が慣れた時、目の前にいた人物は、

「・・・コン、ラッド?」
!!」

いつもの余裕たっぷりの爽やかな笑顔じゃなくて、焦った顔が、本当に心配してくれてたと伝わってきて
嬉しくて、泣きたくなって、誤魔化すように抱きついた。

「ただいま、コンラッド!」
「お帰りなさい、。・・・良かった。早く会いたかった・・・!」
「コンラッド・・・ごめんね?」

早く仲直りがしたかった。あたしも早く会いたかった。
そう言うと、優しく抱きしめてくれた。やばい、泣きそう。

「一体、部下にどういう教育をしてるんだい?渋谷。主君を差し置いてセクハラとはいい度胸だ。」
「『オンナノコには優しく』だよ。村田。」

そんな2人の会話に我に返る。

「!ゴメン!!きゃぁぁ!!コンラッドの服!濡れちゃった!!ゴメン!!」
「いいんですよ、?離れないようにね?・・・透けてますから。」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」

コンラッドから上着を奪い取り、着せてもらう。そういえば・・・・?!

!?」
「何?」

振り返った先にはシャツの裾を絞りつつ、噴水から降り立つの姿。
一緒にまた眞魔国に来れたと、安心したのも束の間。

「ありがとう、猊下。ハイ、お約束の物デス。どうぞお納めをv
 陛下ももさっさと着替えなさいね?じゃ、後よろしく。」
?!ちょっと!」
「お前こそ着替えろ!!風邪ひくって!」
、フォンヴォルテール卿に頼んでコタツと湯豆腐の準備してもらってるから
 あったまってからでもいいんじゃない?」
「アラ、魅力的なお誘いv」

笑いながらもの歩は止まらない。

、ヨザックの居場所わかるんですか?」
「知ってるなら、教えて?」

隣に立つコンラッドの顔を見上げれば、安心させるかのように大丈夫と微笑まれた。

が心配しますから、せめて着替えて下さい。居場所はそれからお教えしますよ?」

次に続いた、早く会いたい気持ちはわからなくもないですがの一言にの歩が止まる。
そのまま、振り返りにっこり笑う
あーあ、コンラッド大丈夫じゃ無いじゃん。・・・怒らせたよー?

「・・・思い出した。サン?ハイ、忘れ物v防水ポーチに入れてたし濡れてないはずよ?」

手渡されたポーチに入っていたのは、

ピンクのフリフリベビードール。

「〜っ!!!!!」
「じゃ。」
「あーもぉー!!早く帰ってくるのよ?!」

ヒラヒラと手を振って立ち去る友人の背中を、見送って振り返ると

。」
「・・・・何?」

真剣な顔。あー、、イヤな予感。

「着てくれるんですか?!」
「・・・ヘ ン タ イ ☆」



****




本能の赴くまま歩いて、ほぼ勘で見つけ出した時、自画自賛すると同時に、
よりにもよってな、タイミングの悪さに、頭痛が再発してきた。

目当ての人物は、ムカつくことに楽しげに酒を飲んでいて。
横にはステキなオネェサンがいて。
それがまた、美人サンで。
自分はというと、ずぶ濡れのままで。

「・・・サイアク。」

大人しく猊下の誘惑にのって湯豆腐とコタツでぬくぬくするべきだったと後悔。
薄く息を吐き、来た道を引き返す。何やってんだろ。
いくら気候のいい眞魔国でも、このままじゃ風邪ひくかもなぁ。
そういえば、前も1回風邪ひいて、あれは知恵熱だったのか?・・・オレンジはイヤだなぁ。
どうでもいい事を考えてたら、

名前を呼ばれた。

?」

振り返らない。振り返りたくない。だから

近寄ろうとする気配を感じ取り、ダッシュで逃げた。

「ちょっと?!何で?!何で逃げる訳?!」

理由なんてこっちが聞きたい。
現役女子高生とはいえ、運動は体育の授業のみで、自慢じゃないが瞬発力はあっても持久力は皆無。
相手は、眞魔国自慢の諜報員。女装もできるお庭番。勝負は目に見えてる。

「ちぃっ!」
舌打ちしつつ、走る。タイミングよく究極の間の悪い男ダカスコスを発見!
・・・犠牲になってもらおう。

「ダカスコスさん!アレ!足止めしてください!」
「へ?」

意味がわからず呆然としているダカスコスをヨザックめがけて押す。
見事ダカスコスごと足止めに成功し、その間に距離を稼いだ。




*****




幻覚だと思った。

いよいよ俺もやばいねぇと思いつつも体が勝手に動いていて、
なじみの女友達や店の主人の怪訝そうな声をそのままに、幻覚を追いかけた。
幻覚であるはずなのに、幻覚なのに、消えないから、近寄ろうとしたら。


「っだぁぁ!邪魔!!」
倒れこんできたダカスコスを押しやり追いかける。

逃げられる覚えは無い。
何でずぶ濡れのままなんだ?とか、護衛はどうした?とか、や陛下は一緒なのか?とか、

探してたのか?とか。

『・・・・戻ってきた時、お前がいなくてどうする。』

上司の言葉が頭をよぎる。後悔したって始まらない。今は捉まえる方が先だ。
距離をつめて、逃げる方向と最短距離を計算して。

手首を掴んで捉まえた時には、そのまま勢いで抱き込んだ。

弾む息をそのままに肩で息しつつ暴れる彼女を抱きこんで、諦めて大人しくなるまで5分かかった。

「―離して。」
「イヤ。」
「・・・・・・・。」

無言のまま左足を思い切り踏まれて顔を顰める。・・・本気で踏みやがったこの女。
意地で抱きしめる腕に力をこめると、諦めたかのように肩に頭を寄せる。

「濡れるわよ?」
「っていうか何で着替えてないんだよ!?風邪ひくだろ!?」
「・・・・着替えたいから離せ。」
「それはダメ。・・・・グリ江のこと探してくれたの?」
「・・・せっかく綺麗なオネェサンと飲んでたのに、邪魔してゴメンナサイ。気にせずお戻りになって?
 1人で帰れるし。」
サン?」
「もぉサイアク。湯豆腐とコタツが呼んでたのに・・・。」
。」

顔を見たくてもそっぽを向いたまま、こちらを見ようとしない彼女の顔に両手を添えて此方を向かせる。
ずっと見たかった漆黒の瞳を見つけて微笑む。

「好きだ。」

伝えるべき言葉が驚くほど素直に出てきて自分でも驚く。
固まったままの彼女に口づけて、耳元で囁く

「お買い得よ?」

言葉を待たずに深く口づける。縋る様にシャツを掴まれ顔を離すと

「・・・セール品の返品はきかないのよね。」

などと可愛くないことを言うものだから、ため息をつきかけて
ふと感じた唇の感触に、一瞬何が起きたか反応が遅れた。
更に止めとばかりに囁かれた言葉に撃沈。

その隙に腕から抜け出した彼女は勝ったとばかりにガッツポーズ。
連続攻撃に眩暈を覚えながら、顔の緩みが収まらなくって、笑った。




******




「で、?どうなった訳?」
サン似合うーv流石ワタクシの見立てv」
「誤魔化さない!大体選んだのはコンラッドでしょうが!ちょっとぉグリ江ちゃんどうなったの?!」
「えー?それが聞いてー姫ー?もぉーグリ江困っちゃうー」
「グリ江ちゃん?(いい笑顔)」
「お口チャックー。」
「で、着てあげたの?」
「教えてくれなきゃ教えません。」

そして始まる。
そんな平凡で愛しい日々。


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無駄に長かったですね。
まずはこんなところまで付き合っていただいた貴女様、心より感謝いたします。

次男イジメになって無いよ?!
途中何書いてるかわからなくなってきた事は貴方とワタクシのヒミツです。