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パン屋を出てカレーパンを食べながら次に向かったのがコンビニ
なじみの店員に軽く挨拶する

「おはよ。」
「珍しー。こんな早い時間に。まだ6時だよ?しかもオトコ連れ?」
「ハイハイ。前代未聞ね。レシート要りません。」
「ありがとうございましたー。」
「・・・。」
「?」
「・・・オツカレサン。・・・じゃあね。」
「うん。じゃあねー」

いつもと同じ他愛も無い会話なのに、いつもと同じ別れの言葉なのに
いつものように次を指し示すことが出来ない。

「ちゃんと笑えてた?」
「ちょっと引きつってた。」
「そっか。」

中々うまくいかないもんだなぁ、と呟きつつまた歩き出す。

「友達?」
「否?知り合い程度?コンビニの従業員と常連客。」
「そっか。」
「うん。」

近くの公園でコンビニで買った猫缶を開けて食事の準備をする。
少し匂いをかいで食べ始めた姿を見ながら。ベンチに腰掛けた。

「あと、」
「6時間。」
「早いもんだね1日。」
「そぉだなぁ。」

朝の喧騒を聞きながら通りを眺める。
出社前にゴミ出しをするサラリーマン。ランドセルに乗られてるとしか見えない小学生。
携帯片手に広がって歩く女子高生。
当たり前の日常。当たり前だと思ってた日常。昨日までは確かに自分もあの日常の一部だったのに。

「うっわ末期。幼稚園のお迎えバス見て愛しいと思うってどうよ?!」
「いいじゃん、ほのぼのしてて。可愛いじゃん子供。」
「あー、好きそうね子供とか、小動物とか。」
「嫌い?」
「小動物は好き。嫌いじゃないけど、子供は苦手。」
「自分の子供の夢は見るくせに。」
「うちの子は別。」
「親バカ!!」

腹抱えて笑う姿に、シロコさんの冷たい視線。

「子供産んで、楽しんで、老後は縁側で茶でも啜りながらサイケデリックにハッピーライフ。」
「ファンキーな婆さんだな。」
「いいねファンキーな婆さん!きっとそうなって見せるから、その頃迎えに来てよ。」
「魅惑的お誘いですねー。」
「でしょ?薔薇の花束持ってきてよねー?『もう十分でしょ?』って」
「わがままー、でも、薔薇ってイメージじゃないなぁ?ガーベラとか、ダリアとか」
「花屋でも無いのに花に詳しい野郎はタラシなのよ?」
「断定?!」

ふと、シロコさんと目が合って、ビー玉のようなその瞳に写る自分が見えた。
知らず、体が震えだす。
怖い。怖い。こわい。 だって、

「・・・・何で、あたしなのよっ?!」

はじかれたように、震えを吹き飛ばすかのように叫んだつもりだったが、
声は無様に震え思った以上に声は出ていなかった。
八つ当たりにも程があるのに、どうしようもなくて横の男の胸を叩く。
すがるように。

そのまま抱きしめられて、やっと。

やっと泣けた。


ソンナ顔シナイデ、
ドウセナラ、イッソ、憎マセテ



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